【深掘り】9割がスピリッツ!?日本のウイスキーに隠された「大人の事情」とおすすめボトル

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先日投稿した「世界のウイスキーの定義」という記事で「日本のウイスキーの一部は、海外の厳格な基準だとウイスキーと呼べないものがある」というお話を少しだけしました。

今回は、ウイスキー好きとしてどうしても気になってしまうこのテーマを、もう少し深く掘り下げてみたいと思います!


■ 歴史的背景:原酒不足と代用品

日本で本格的なウイスキー造りが始まったのは大正時代のことです。
当時の先人たちは、本場スコットランドの製法を手本にして、忠実に本物の味を再現しようと奮闘していました。

しかし、当時の日本にはブレンドの設備やグレーンウイスキーを作る技術、そして何より長期熟成させた原酒のストックが圧倒的に不足していました。
そこで、限られたモルト原酒の風味をなんとか活かしつつ、市場への生産量を確保するための工夫として、スピリッツ(醸造アルコール)をブレンドする手法が定着していったのです。


■ 制度的背景:酒税法の「10%ルール」

この歴史的な流れを踏まえ、現在の日本の「酒税法」では、ウイスキー原酒(モルトやグレーン)が10%以上含まれていれば「ウイスキー類」として販売することが認められています。残りの90%未満にはスピリッツ、アルコール、水、色素(カラメル)などを加えても法律上は問題ありません。

ここで重要なのは、日本の酒税法は“品質基準”ではなく、あくまで“税区分のための定義”であるという点です。

そのため、最初から高い品質の維持やブランド保護を目的に掲げている世界のウイスキー基準(スコッチ規格やバーボン規格など)とは、そもそも法律が作られた目的が違います。

戦後の復興期や高度経済成長期には、この「税区分としての仕組み」があったからこそ、安価なウイスキーを大量に供給し、多くの人が手軽にお酒を楽しめました。原酒不足を補うために定着したこの仕組みが、現在もそのまま酒税法に残っています。


■ 現代の課題:ブランドを守るために

これはあくまで過去の事情であり、現在の日本には世界に誇れる設備も高い技術も十分にあります。だからこそ、私はジャパニーズウイスキーのブランドを守るための法整備が、今こそ必要だと考えています。

やはり、中身の9割がスピリッツで、原酒がわずか10%のボトルを他と同列に「ウイスキー」と名乗るのには無理があると感じてしまいます。
特に、日本を訪れた外国人の旅行客が漢字のおしゃれなラベルを見てお土産に買って帰ってしまったり、初めて飲む人がそれを口にして「ウイスキーってこんな味なんだ」と誤解してしまうのは、ウイスキー好きとして本当に悲しいことです。

ただその一方で、「とにかく安く、手軽にお酒を楽しみたい!」という宅飲み需要を支えているのも紛れもない事実です。
そこで、そんな「スピリッツ入りウイスキー」の世界を一度体験してみたい方に向けて、特徴的なボトルをご紹介します。


■ スピリッツ入りウイスキーを試したい人へ(2選+番外編2選)

● トップバリュウイスキー

  • アルコール度数:37%
  • 特徴:ラベルに「モルト・グレーン11%以上、国内製造スピリッツ89%未満」と、ブレンドの割合まではっきりと明記されている非常に珍しい商品です(※時期によりラベルの記載が変更される場合があります)。イオンのPB商品らしく圧倒的なコスパを誇り、中身の構成をここまで潔く開示している姿勢はある意味で貴重だと言えます。

● キングウイスキー「凜」

  • アルコール度数:37%
  • 原材料:モルト、グレーン、ブレンド用アルコール(国内製造)
  • 特徴:大容量ペットボトルでもおなじみの晩酌ウイスキーです。公式に「ブレンド用アルコール」の記載があり、すっきりとした後味でハイボールや水割りにすると非常に飲みやすく仕上げられています。

■ 番外編(グレーンスピリッツ使用)

普段よく目にする定番ボトルの中にも、実はスピリッツ(グレーンスピリッツ)が使われているものがあります。

● トリスウイスキー

  • アルコール度数:37%
  • 原材料:モルト、グレーン、グレーンスピリッツ
  • 特徴:居酒屋や缶ハイボールで誰しも一度は馴染みがある銘柄です。すっきりとした味わいを出すために「グレーンスピリッツ」がブレンドされていることが、公式ホームページの原材料欄にも記載されています。

● ブラックニッカ ディープブレンド

  • アルコール度数:45%
  • 原材料:モルト、グレーン、グレーンスピリッツ
  • 特徴:こちらは番外編の中でも驚きの一本です。原材料にグレーンスピリッツの記載があるものの、非常に味わいの完成度が高く、濃厚でウッディな樽香を楽しめます。「スピリッツ入り」と言われなければ全く気づかないほどクオリティが高く、日本のブレンダーの技術の凄さを実感できます。

■ おわりに

スピリッツ入りウイスキーは、日本の激動の歴史と原酒不足から生まれた、独自のカテゴリーです。

しかし、世界的なジャパニーズウイスキーの人気や現在の高い技術力を考えると、ブランドを守るための法整備は避けて通れない道だと感じています。
そのうえで、安く手軽に楽しみたい人も、本格的な味を求める人も、お互いのニーズがどちらも尊重されるお酒の世界が良いなと思っています。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!


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